OASIS学校長 菅原出の「飛耳長目」 - 2023年1月16日
Jan 16, 2023こんにちは!オンラインアカデミーOASIS学校長の菅原出です。
1月10日に、ロシアがウクライナ東部ソレダルを制圧したという報道が流れました。ソレダルというのは、東部ドネツク州の要衝バフムトへのウクライナ軍の補給路だと言われていますので、ここをロシアが制圧したということは、ロシアにとっては軍事的な成果だと報じられました。
興味深かったのは、この発表を行ったのがロシア軍ではなく、ロシアの民間軍事会社ワグネル社の創設者エフゲニー・プリゴジン氏だったことです。ワグネル社はウクライナ戦争に5万人の「戦闘員」を派遣しており、そのうちの1万人は元軍人などの「契約社員」、残りの4万人はロシアの刑務所にいた囚人たちで、「戦争に参加することを条件に釈放され」、ワグネル社と契約した人たちだと言われています。
ワグネル社はこのウクライナ戦争では「大活躍」しているようで、昨年12月には北朝鮮から歩兵用ロケットとミサイルを購入したことが伝えられています。
ウクライナには引き続きロシアからの空爆が毎日のように行われていますが、最近ロシア軍の攻撃の主力となっているのは、イラン製の無人機です。米国は、イランからロシアへの武器の流れを止めようと躍起になっていますが、止められません。
しかも、1月4日に米CNNが報じたところによれば、ウクライナで使用されているイラン製無人機の部品の80%以上は、米国企業によって製造されたものでした。米国は過去何十年にもわたってイランに経済制裁を科してきましたが、イランは米国製の部品を使って武器を製造し続け、ロシアに供与することが出来ている、ということになります。
これらの事象が意味しているのは、米国がこれまで築き上げてきた国際秩序が崩れ、国家から非国家勢力まで、既存のルールを無視し、勝手に自分たちのルールでゲームを展開する勢力が各地で跋扈しているということです。
これからの世界では、秩序が失われ、混乱が拡大するのが大きなトレンドになっていくという状況認識を持つことが必要です。
OASISでは、「技術と安全保障」というジャンルの中で、無人機や民間軍事会社について基本から学べるコンテンツを用意しています。こうした基礎的な知識を積み上げていくことで、今世界で起きていることの本質を理解することが可能になります。
1月13日には元陸上自衛隊武器学校・校長の市川文一先生の「ロシアのウクライナ侵攻と日本の防衛①なぜ戦争が起こったのか?ロシアのウクライナ侵攻概観」が、1月15日には元防衛省情報分析官の上田篤盛先生の「インテリジェンス基礎①インテリジェンスとは何か?種類、戦略との関係、要件、政治化の回避」が公開されています。是非ご視聴ください。
また1月24日(火)には、クラブ活動「外交安保実地研修の会」の2回目の活動として、横須賀の海上自衛隊基地研修を予定しております。また、2月12日(日)には「米国VS中露 秩序維持勢力と秩序破壊勢力の攻防の行方」と題するシンポジウムも開催致します。皆様奮ってご参加ください。
世界は今、100年に一度の大きな変動期を迎えています。歴史や地政学をはじめ、国際政治や安全保障を基本から学ぶことが、今こそ必要とされています。
是非一緒に学んでいきましょう!
菅原 出
OASIS学校長(President)