7日間無料トライアル
login register

OASIS学校長 菅原出の「飛耳長目」 - 2023年1月27日

学校長 飛耳長目 Jan 27, 2023
菅原出の連載コラム「飛耳長目」

こんにちは!オンラインアカデミーOASIS学校長の菅原出です。

1月25日に、ドイツがウクライナに主力戦車「レオパルト2」を供与することを決めたことが大きな話題になっています。

米国も同日、主力戦車「エイブラムス」の供与を決定し、北大西洋条約機構(NATO)諸国は、これまで慎重だった戦車のウクライナへの供与に踏み切り、この戦争は新たな段階に突入しました。

同日の日本経済新聞は、「戦局を大きく動かすゲームチェンジャーになり得る」として、この戦車について解説する特集記事を掲載しています。日本を代表する経済新聞が、大々的に戦車の解説をしているのですから、大変な時代に入ったことを実感します。

ドイツ政府は自国が保有する戦車に加え、欧州各国が保有するレオパルト2をウクライナに供与することも承認するとのこと。ポーランド、スペインやオランダなども次々に戦車の供与を進めるとしていて、合計すると100両ほどがウクライナに供与される見込みだと伝えられています。

これらの戦車がウクライナに送られるのには一定の時間がかかりますし、こうした新たな兵器を運用するには訓練が必要ですので、ウクライナ軍がこれらの戦車を実戦投入するのにはしばらく時間がかかると思われます。しかし、欧米諸国は戦争のエスカレーションを避けるためにこれまで戦車の供与を控えてきたので、今回戦車の供与に踏み切ったことで、エスカレーションのリスクが確実に上がることは避けられません。

ロシアは春に大攻勢をかける準備をしていると言われています。今後は安価なイランの弾道ミサイルも大量に投入される等、戦闘がさらに激しさを増すことになるでしょう。

また、ロシアは、ウクライナへの軍事支援を強化した欧州諸国に対してその“代償”を払わせようとする可能性があります。

昨年11月から12月にスペインでサンチェス首相やウクライナ大使館などに宛てて爆発物が仕掛けられた郵便物が6通、相次いで届いた事件で、西側の情報当局は、実行犯の背後にロシアの白人極右団体がいて、さらにその背後にはロシアの諜報機関がいたのではないかと疑っているようです。

ロシアはこうしたテロ工作で欧州諸国に揺さぶりをかけ、ウクライナを支援することのリスクを思い知らせようとする可能性があるでしょう。

いずれにしても、ウクライナ戦争は新たなフェーズに突入し、第3次世界大戦に一歩近づいたと言えるかもしれません。

1月18日と22日には佐藤丙午先生の「経済安全保障入門」の第二弾と第三弾が、また23日にはOASIS特別講師・榎本尚先生の新シリーズ「大量破壊兵器と弾道ミサイルの拡散」の一回目のコンテンツ「大量破壊兵器とは何か」が公開されています。是非ご視聴ください。

また、2月12日(日)には「米国VS中露 秩序維持勢力と秩序破壊勢力の攻防の行方」と題するシンポジウムも開催致します。皆様奮ってご参加ください。

世界は今、100年に一度の大きな変動期を迎えています。歴史や地政学をはじめ、国際政治や安全保障を基本から学ぶことが、今こそ必要とされています。

是非一緒に学んでいきましょう!

菅原 出
OASIS学校長(President)