OASIS学校長 菅原出の「飛耳長目」 - 2023年4月24日
Apr 24, 2023こんにちは!オンラインアカデミーOASIS学校長の菅原出です。
アフリカ北東部スーダンで4月15日に、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で軍事衝突が発生。両勢力とも全国の主要都市に拠点を置いているため、首都ハルツームとダルフールを中心に、全土でほぼ同時に戦闘が勃発したようです。
スーダンは内戦の多い国ですが、ハルツームでの持続的な市街戦は前例がないことから、現地では相当衝撃が大きかったものと思われます。
国軍のトップはスーダン軍事政権の大統領でもあるアブデルファタハ・アル・ブルハン元帥で、RSFを仕切っているのは同国の副大統領であるモハメド・ハムダン・ダガロ中将です。RSFは、30年間独裁者として同国を支配したオマル・アル・バシル氏が軍によるクーデターを恐れてつくった親衛隊のような組織ですから、国軍に対抗できるだけの実力を備えた民兵組織です。
大統領と副大統領が、それぞれ支配下にある実力組織を使って権力闘争を激化させてしまったのですから、そう簡単には収まらないでしょう。
各国とも自国民を退避させる作戦を展開し、本稿執筆時点で米軍が米国民を退避させたと発表、日本政府も自衛隊機を隣国のジブチまで送り、待機中と伝えられています。交戦地域に自衛隊機を送るという危険な任務になりますが、躊躇することなく任務を貫徹して邦人を救出してくれることを願っています。
それにしても、2021年2月にミャンマーで軍事クーデター、同年8月にはアフガニスタンでタリバンがカブールを陥落させ、22年2月にはロシアによるウクライナ侵攻と、毎年のように国外退避を必要とするような紛争、政変が世界各地で発生しています。
大国間競争の激化を背景に国家間の利害対立が先鋭化し、国内においても社会の分断や対立が強まり、全般的に国際情勢が不安定化していることから、紛争や政情不安のリスクが高まっていることを痛感します。国際政治や安全保障の知識に加えて、危機管理の能力も不可欠な時代に入っていることを改めて感じています。
4月14日には飯田将史先生の「習近平政権の対米政策① 冷戦後における中国の対米政策の変化」が公開されています。是非ご視聴ください。
また5月10日(水)には土屋貴裕先生の新著『習近平の軍事戦略』の出版記念講演会兼懇親会も開催致します。奮ってご参加ください。
「世界は今、100年に一度の大きな変動期を迎えています。今こそ歴史や地政学をはじめ、国際政治や安全保障を基本から学ぶこと必要になっています。
是非一緒に学んでいきましょう!
菅原 出
OASIS学校長(President)